睫毛と犬歯

8月5日 隙間から 見える青空8月の まぼろしプリズム 尖った歯


過ぎてゆく夏に手を振る 美しい夕日を今年もたくさん見せてくれた もし明日、秋が来るなら教えて欲しい 秋はやさしくて 私の心はこなこなになって消えてしまう


10年がたったなんて信じられない 16歳だった私は26歳になった いなくなってしまった どこに行ったんだろうと今も不思議に思う あれほど近くにいたのに1番好きな花の名前も知らなかった  頬の冷たさを 足の細さを  病室の匂いを 忘れてはいけないんだと今は思う


本当の別れは頬の冷たさだった 指の先から声が聞こえる