生きろ、そなたは美しい

新しい職場で完全に人との接し方を忘れてしまったわたしはこころを閉ざし過ごしていたが人生は愛の開国だと思い出し少しだけ打ち解けることが出来ました いつまでも中学生のままひとりで砂漠に立っている訳にはいかない 情けなく恥ずかしい思春期を思い出すと苦しくなるよ

私の可愛くて小さな妹はもう大人になったのに、姿を思い浮かべるときには決まって小学校のままだからすごく不思議な気持ちになる。本当に悲しそうに泣く妹の姿を鮮明に覚えていて、そのことを思い出せば心が静かに冷たくなるけれど、かなしみを美しい魂に変えたやさしい妹を誇りに思っている。

子供の時以来行っていなかった三鷹の森ジブリ美術館は、あまりにも素晴らしかった。もののけ姫は私の大好きなアニメーションであり、大切なことを学んだ物語です。大人になって、自分の好きなものを知り、大切に思うことが出来るようになって、本当に嬉しい。

「憎悪と殺戮のさ中にあっても、生きるに値することはある。素晴らしい出会いや美しいものは存在し得る。」

いつだって、私もそう信じている。

振り向いたのは

 

10年間働いた職場を退職した。
大好きな二人と出会った。
悲しくてたまらない日も職場に行けばみんながいたし、働くことがいつも楽しかった。どんな事も相談できたし、いつもみんなが助けてくれた。みんながいたから乗り越えられたことがたくさんあった。悔しくて泣きながら帰った日も、みんなといった旅行も、全てが楽しかった。自転車で片道40分、毎日笑って働いて、ずっとここで働けるんだと思っていた。

憧れて、資格をとって、失望もした。
20代をまるごと過ごしてきたから、思い出が沢山ある。もう二度と戻れない、こんなに楽しく働くことはもうできないと分かっている、でも私は、良いと思える仕事をしたい。すごくすごく寂しいけれど、頑張っていればまた、会えるのだから。

 

 

夏風邪

 

咳が止まらない 横になると苦しくて眠れず 思い出すのはちいさな子供だった頃
わたしは大人になるまで体が弱く 季節が変わる度に喘息の発作を繰り返した
ひいおばあちゃんは布団で寝ている私の隣で手を握りながらお経を唱えてくれたけどそれがとても怖かった
喘息が出た夜はいつも孤独だった 苦しくて涙が出てもっと苦しくなって、ひとりぼっちだ、と思った
薬を飲むのが苦手で何時間も泣いていた どうしても飲むことが出来なくて、それでもお母さんはいつもいつも何時間でも手を握ってくれた 今でも薬を飲む時には手をぎゅっと握ってしまう もう誰もいないのに
救急車に乗って向かったベットの上で、お母さんの代わりに私がつき添いますと泣いていたおばあちゃんの姿を忘れられない 入院するのは嫌だと泣く、大人になった孫を抱きしめてくれた私の大好きなおばあちゃん

色の変わっていく唇 視界が曇っていく 救急車のサイレン パルスオキシメーター 吸入器のガスの臭い 拡張シールの痒さ  薬が混ざったバニラアイス 天井の四角いタイル 嫌なことばかりを思い出す


咳き込む私と同じ部屋で過ごしている恋人は高熱を出した 死んだりしないとみんな言う そんなことでは死なないと でもどうしてそんなことが言えるんだろう わたしは本気で、もう会えなくなるかもしれないと思う そしてそれがとてつもなく怖いのだ

 

 

29

今より先のことはわからない、大切なものはこれからどんどん減っていくね。もうここには戻れない。
守りたいものは、自分の湖に浮かんで完結している。

いつでも、雨のように安心な、優しさを持ちたい。

騒がしい教室で

 

卒業試験合格発表の日、おばあちゃんは泣いて喜んでくれた。恋人はお祝いに焼肉をご馳走してくれた。

国家試験から合格発表までは拍子抜けしたような気持ちで呆気なく終わった。

今日までの3年間、とてもとても長かった。

あっという間だったねと言われても、私には果てしなく長く感じた。夜に学校が終わって朝から仕事、夕方急いで学校に向かう繰り返しで会いたい人に会う時間も取れないことばかり。なんのためにとこんなことを、と思う時はいつもお守りの言葉が力をくれた。理不尽な教師、騒がしい教室。全く知らない人達とひとつのクラスになって過ごすのは耐え難いほど息苦しく、でも気を許せる友達が少しだけ出来た。勉強は理解できると楽しいのだということも初めて知った。幼稚園から今までずっと学校は大嫌いだった。でも入学しなければよかったと思ったことは一度も無かった。憧れの職業が自分の一生の仕事になったのだ。3年前に書いた日記を読み返すと驚いてしまう。もうこんなに時間が経っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

でも叶うなら戦うよりも愛し合いたい

 

恋人の誕生日を祝うのは8回目。恋人の足の裏に顔をぴったりつけるととても幸せな気持ちになる。眠る前に必ず抱きしめてくれることも知っている。とても長い時間を2人で過ごしてきた、本当にたくさんのことがあった、ふたりでいるととても素敵だと心から思う。


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焼肉屋さんで、お祝いをした帰り道の空は美しかった。夕焼けはなぜこんなにも美しいの。この世の全てに意味があり、その全てがつながって私たちは生きている。なのに夕焼けが美しい理由を言葉にすることは出来ないね。

 

 

 

 

 

 

月に吹く風

 

恋人に出会って8年が経った。初めて目が合った時のことを今でも鮮明に思い出せる。あの日から世界は2人のものになり、わたしは祈りの言葉を覚えた。たくさんの日々、愛することが嬉しくて仕方がなかった。守ってあげたいと思ったのははじめてだった、こんな場所があるなんて、夢みたいだ。
彼が私をみつけてくれた時、私も彼をちゃんと見つけることができた。出会う前から一緒に育ってきたのだとおもう、お互いを見つけられるように。
愛は約束のないところに存在すると信じている、だから私たちにはひとつの約束も決め事もない。別々のことして過ごしても、毎日隣で眠れることの美しさを愛しています。