星と日曜

 

私たちはもう何億光年も先に水が水として存在できる星があることを知っていて、星が瞬くだけでは驚かなくなった。どこにでも行けるような感覚と、もう引き返せないという感覚。繰り返すことなど1つもない、すべて離れ離れになっていくこと。
懐かしい夢を見て起きた朝、春が来たことを知った。夜の散歩にマフラーは必要なくなってポケットから手を出して愛しい右手を握ることもできた。存在しない人物に焦がれることで生活が苦しくなって小説はドラッグみたいだ。お揃いのTシャツを着て仰向けになっていた。「嫌なことばかり覚えていて楽しいの?」楽しいことは覚えているつもりだった、悲しかったことも鮮明に覚えているのは私だけだった。それでも、楽しかった記憶に支えられて生きているのは滑稽だと思った