雲隠れ


7年。秋はいちばん空を近くに感じて突然泣きたいような気持ちになる。ひとりの人間がいなくなることで変わってしまったたくさんの物事を、受け入れたり拒絶しながら過ごしてきたよ。生き写しのようにどんどん母に似ていくわたしを、いちばん近くて見ていてほしかったの。わたしね、世界でいちばん愛しいって思える人ができたよ、いつも楽しみにしていた漫画は最終巻を迎えたし、一緒に見る約束の舞台は見れそうにない。側に居てくれたらなんて、寂しすぎるけど。わたしが生きているのは母が存在したことを覚えておくための手段で、母が存在したことを覚えていることはわたしが生きているという証です。