背骨を伸ばし肋骨を折る

 

雨の日に電車に乗ると別の世界にいるような気がする みんながすごく遠い場所にいるような ひとりで随分遠くまで来てしまったような気がした でもわたしの手には誕生日のケーキ マカロン 耳にはお気に入りのピアス どんどん自信が湧いて来て 電車を降りる頃にはなんでもできるような気持ちになっていた 雷が光っている

駅前の喫茶店 大好きなホットドッグとカフェオレはわたしの空腹を満たしてくれる 昔の恋人を思い出して少し心が砕けた わたしを天使にしてくれたひと 凍えるような喫煙 席

やるべき事がある それがすき 銀河を超えて 大切な人たちに会いに行けたらいいね 目を瞑れば世界の全てがわたしのものになる

愛情をあてにしてはいけない ドアが開く音がする たましいとからだ 錆びていく自転車 上る煙 わたしの火を分けてあげたい あなたの名前が欲しい

今住んでいる家からは駅のホームが見渡せる 終電車が到着して約30分で電気が消える その光景をベランダからずっと眺めていると心の隙間で宝石がカラカラと鳴る

雨の日の朝 ギリギリの電車に向かって恋人と家を飛び出す 同じ電車に乗って 彼の濡れた頬を触る 1人で電車を降りた瞬間世界に膜が張るのがわかる 自分を守るためにしていることが 残酷な孤独に追いやって行く